有事のドル買いとは

戦争などの有事の際は、アメリカの通貨であるドルへの資金のシフトが起こり、ドル高になる傾向が見られます。市場ではこの傾向を「有事のドル買い」と呼んでいるそうです。

それでは、なぜ戦争などの有事の際に、ドルへの資金シフト現象が起こるのでしょうか。たとえば、戦争当事国や近隣地域で暮らす人々は自分の資産を守ろうと考えます。そして、世界で最も強く、安全であると思われる国へ資産を移そうと考えるからです。つまり有事のドル買いとは、安全を買うことというわけです。多くの人が、世界で最も安全である国はアメリカだと考えているため、ドルが買われるのです。実際、かつての中東戦争やソ連のアフガニスタン侵入などのときに有事のドル買いと思われる現象が起こったそうです。

「有事のドル買い」は特に米ソ冷戦下で強く働きました。世界の冷戦構造が崩壊してからは、アメリカもかつてのような軍事力と、それを背景にした政治力を維持することが難しくなっていると思います。そのため、アメリカが世界で最強で最も安全な国だと一概にはいえなくなっているでしょう。そうした意昧では、「有事のドル買い」という市場の現象も、そのうちなくなっていくことも考えられるかもしれません。

有事のときに資産を安全な場所に移したいと思うのは、ほとんどの人に当てはまる行動でしょう。政治的に不安定な地域に住む人々は特にそう思うのではないでしょうか。したがって、有事の際は世界で最も強く安全だと認識されている国の通貨が外貨購入されることになります。