貿易収支と為替レートの関連

輸出入(貿易)の動向と為替レートにはどのような関係があるのか、日本の場合を例にして考察していきます。一般的に、輸出は代価として外貨を受け取り、外貨売却をして円に換えるので「円高要因」といえます。一方、輸入はその代価として支払う外貨を、円を売ることで手に入れるため「円安要因」になります。

輸出入の動きが統計数字として市場の関心の的となるのは、輸出・輸入双方をネットとした貿易収支の数字です。たとえば、日本の貿易収支が黒字であれば円高傾向にあるといえ、赤字であれば円安傾向ということがいえると思います。1970年代後半の円高局面は、実際の為替相場で貿易収支が為替レートの変動に大きな影響を与えていました。

当時、日本の貿易収支は黒字傾向を強めていた時期であったため日本の貿易収支が発表される瞬間は市場の注目の的にもなっていました。予想した数字より大きければ市場で円買いが増え、円高傾向となります。予想より数字が小さければ円売りが増えて円安気味に相場が揺れるというパターンが続きました。

現在は、アメリカの貿易赤字と日本の貿易黒字がともに減少し、日米間の不均衡が正されていっています。それにつれて、貿易収支の動向はかつてほど為替レートの変動に影響をあたえることはなくなってきているようです。実際、最近では、ディーラーたちも貿易収支の数字にあまり注目することがなくなっています。しかし、日米や日欧の貿易収支の不均衡が政治問題に発展すると再度、為替レートとの相関関係が強まることになると予想されます。